私の自己紹介

はじめまして。金融ライターの川本修一と申します。

愛知県名古屋市で生まれ育ち、現在は東京都文京区を拠点に、中小企業金融を専門とするライターとして活動しております。かつては三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)で20年以上、中小企業向け融資や与信管理の現場に立っていました。

リーマンショックが教えてくれたこと

2008年9月15日。リーマン・ブラザーズが破綻したあの日のことは、今でも鮮明に覚えています。

それまでの私は、銀行員として「正しい」融資判断を下すことに専念していました。財務諸表の数字を分析し、リスクを評価し、規定に則って粛々と業務をこなす。それが私の仕事だと信じて疑いませんでした。

しかし、リーマンショック後の混乱の中で目にしたのは、健全な経営をしていたはずの企業が次々と資金繰りに窮する姿でした。「売上は順調なのに、取引先の倒産で連鎖的に…」「設備投資したばかりなのに、融資が止まって…」経営者の方々の悲痛な声が、今も耳に残っています。

その時、私は気づいたのです。数字の向こうには、従業員とその家族の生活があり、地域経済を支える使命があり、何より経営者の熱い想いがあることを。そして、その「リアルな声」を正しく伝える役目が必要だということを。

経営者の声を届ける橋渡し役として

2009年、私は銀行を早期退職し、フリーランスの金融ライターとして新たな一歩を踏み出しました。56歳になった今、振り返ればあの決断は正しかったといえるでしょう。

私の専門分野は、中小企業金融、資金調達、そして事業再生です。銀行員時代に培った知識と経験を活かしながら、経営者の皆様が本当に必要としている情報をお届けすることを心がけています。

たとえば、「運転資金」という言葉一つとっても、教科書的な説明では伝わらないことがあります。私なら、こう説明します。

「運転資金とは、売上が入金されるまでの『時間差』を埋めるお金です。商品を仕入れて、それを販売し、代金を回収するまでには必ずタイムラグが生じます。その間も、仕入代金の支払いや従業員の給与は待ってくれません。この『時間差』を埋めるのが運転資金の役割なのです」

専門用語をかみ砕き、図解や具体事例を交えながら、経営者の方々が「なるほど、そういうことか」と腑に落ちる説明を心がけています。

私が大切にしていること

取材をさせていただく際は、徹底的にヒアリングすることを信条としています。準備した質問項目だけでなく、経営者の表情や声のトーンから、その奥にある「本音」を引き出すよう努めています。

「実は、銀行には言えないんですが…」

そんな前置きから始まる話こそ、他の経営者の方々にとって価値ある情報になることが多いのです。もちろん、守秘義務は厳守した上で、普遍的な教訓として記事に昇華させていきます。

最近注目されているファクタリングについても、私なりの考えがあります。資金繰りの選択肢が増えるのは確かにいいことです。しかし、経営者が「最後の手段」として使う構造は変えたいと思っています。ファクタリングも含めた多様な資金調達手段を、それぞれの特性を理解した上で、戦略的に活用する。そんな経営者を一人でも増やしたいのです。

ちょっと真面目すぎる?私の素顔

慶應義塾大学経済学部を卒業してから35年。ピーター・ドラッカーの『経営者の条件』を座右の書として、ひたすら真面目に金融の世界を歩んできました。

自他ともに認める「真面目すぎるところ」が私の課題だと、時々笑われます。確かに、休日も都内のクラシック喫茶で経済書を読んでいるような人間ですから、否定はできません。しかし、この真面目さこそが、経営者の皆様の信頼を得る源泉だとも思っています。

文京区の自宅から、今日も中小企業の現場へ向かいます。東京の喧騒の中でも、経営者一人ひとりの声に耳を傾け、その想いを文章に込めていく。それが私の使命です。

共に歩んでいきましょう

中小企業の経営は、決して平坦な道のりではありません。資金繰りに悩み、人材確保に苦労し、時には事業の存続さえ危ぶまれることもあるでしょう。

しかし、忘れないでください。皆様の事業は、地域経済を支え、雇用を生み出し、社会に価値を提供しています。その尊い営みを、私は心から応援したいのです。

このブログでは、資金調達の実務的なノウハウから、経営者としての心構えまで、幅広くお伝えしていきます。時には辛口な指摘もするかもしれません。「こうしてはいけない理由がある」と、警鐘を鳴らすこともあるでしょう。

でも、それもすべて、皆様の事業の永続的な発展を願ってのことです。

銀行員として、そして金融ライターとして、私が見てきた中小企業経営の真実。成功の喜びも、挫折の苦しみも、すべてを包み隠さずお伝えしていきます。

どうぞ、末永くお付き合いください。共に、中小企業の明るい未来を切り開いていきましょう。

川本修一